手軽に商品が試せる昆虫食ショップ『TAKEO』へ行ってみた!

手軽に商品が試せる昆虫食ショップ『TAKEO』へ行ってみた!

2014年、昆虫食の通販ショップとして開業した『TAKEO』。現在は販売だけでなく、商品開発や食用昆虫の養殖など、多角的な方面から昆虫食業界を牽引しています。今回はそんな『TAKEO』の実店舗を訪ねてみました。

東京メトロ銀座線の稲荷町駅から徒歩約6分。看板が目印。

食としての楽しさを追求

上野と浅草の中間あたり、静かな路地にお店はありました。入り口のガラス戸が大きくて店内は明るく、カフェやコーヒースタンドのようなおしゃれな雰囲気。迎えてくれたのは店長の三浦みちこさん。明るい笑顔と豊富な知識、何より昆虫について楽しそうに説明してくれる姿に、初心者でもハードルが一気に下がる気がします。

女性でも入りやすい雰囲気。上野・浅草が近い立地からか、修学旅行生が訪れることもあるという。

『TAKEO』は2014年、代表である齋藤健生さんが立ち上げました。「飲食業に携わってきた齋藤が、新しいことをやりたいと思ったときに、たまたま昆虫食と出合いました。昆虫食は人を笑顔にする力があると感じ、取り組みを決めたそうです」と三浦さん。

『TAKEO』で一番大切にしているのは“食として楽しむ”こと。そして、肉や魚、野菜と同じように食材の選択肢のひとつになり、家庭の食卓を楽しませるようになること。

「開業当初はやはりゲテモノ扱いで、バラエティグッズとして求められることが多かったのですが、今は昆虫食の知名度も上がり、さまざまな方向からアプローチできる環境にあります。私たちもいろいろな角度から発信していきたいと頑張っています」

三浦さんは『TAKEO』の理念とビジョンに共感し入社。もともと食が好きで昆虫食にも抵抗はなかったとか。

お店には初心者から上級者までさまざまな人が訪れます。若い女性も多いそう。

「ネット販売だけだとお客様と対面できません。お客様のほうもどんな人が売っているのか興味を持たれていると感じたので、2018年に実店舗を構えました。コミュニケーションを取りながらきちんと昆虫食を伝えられることが強みですね。私たちもお話ししながらとても勉強になっています」

現在は、タイなどから輸入した商品を販売するだけでなく、独自の商品開発も行っています。追求しているのがおいしさ。「実際、あまりおいしくないものも多いので、研究を重ねてきちんとおいしいものを提供していきたいと思っています」と三浦さん。

可愛らしいパッケージのスナックなどが置かれ、レイアウトもスッキリ。

店頭にある商品を試してみた!

まずは『コオロギパスタ揚げ』を試食。コオロギパウダーが20%練り込まれたパスタを揚げたもので、スナック感覚で食べられます。くるくると巻いた形状も可愛らしく、エビのようなうま味と香ばしさがあっておいしい!取材陣もさっそく購入しました。

『コオロギパスタ揚げ』は人気商品。手前は『昆虫ふりかけ』。汁物に入れたり焼きそばなど麺類のトッピングに。

2019年夏に自社開発し、話題となったのが『タガメサイダー』。タイで養殖されたタイワンタガメ使用し、独自の製法で抽出したタガメエキスが0.3%入っています。「昆虫食が初めての方でも飲みやすいと思います」と三浦さん。

塩漬けのタガメを輸入し、塩抜きをしてタガメエキスを抽出。開発者のこだわりが詰まっている。

「玄人さん向けのものもありますよ」とニコニコしながら三浦さんが出してくれたのが、店舗限定で味わえる『めっちゃタガメサイダー』。さらにタガメエキスを加え、タガメのシロップに浸けたタピオカ、レモングラス、シロップ漬けのタガメがのっています。

恐る恐るひと口...。すると青リンゴを思わせる香りと甘み!爽やかなサイダーによく合います。正直、タガメと言われなければわからない!そして「つぶらな瞳と目が合う!」と言いながらもタガメにかぶりつくと、殻の中は意外にも鶏肉のような肉感があり、肉のうま味にほんのり残る塩気と染み込んだシロップの甘さが混ざって、お、おいしい...。

タピオカはタガメの卵、レモングラスは水草をイメージ。そして、エキスを抽出した後のタガメをシロップに浸けトッピング。

昆虫農園やイベントなども展開

『TAKEO』が新しい事業として取り組んでいるのが食用昆虫を養殖する農園『むし畑』。土づくりから始め、草を育ててトノサマバッタを中心に飼育しているそうです。「食べた草で風味が変わってくるので、調理しやすい風味を出すよう研究しています」と三浦さん。

自然豊かな農園で農薬などを使わず、安心・安全に飼育される昆虫。旬の味を楽しむさまざまな食材と同じように昆虫も食卓を賑わせるようになる...。そんな未来がすぐそこに来ているように感じます。

神奈川県厚木市にある食用昆虫の農園『むし畑』。土づくり、草づくりから取り組んでいる。

そして力を入れているのが昆虫食の裾野を広げ、多くの人がチャレンジできる機会をつくること。「イベントにも積極的に参加していきたい」と三浦さん。

「イベントでは昆虫食を知らない方もたくさんいらっしゃいますが、皆さん和気あいあいと楽しんでくださいます。そんな反応を見られるのがうれしいですね。また、家で料理してみたいという上級者に向けては、『むし畑』や提携農場で育てた昆虫など、フレッシュなものも提供していく予定です」

『TAKEO』を訪れ、三浦さんと話したり試食したり、タガメの姿と味に驚きつつも終始笑顔だった取材陣。食に対してこんなに盛り上がれるのは確かに大きな魅力に違いありません。好奇心が満たされるとともに、昆虫食の持つパワーをあらためて感じました。

データ:
『TAKEO』
東京都台東区松が谷1-6-10
営業時間13:00〜18:00 水曜・土曜休
東京メトロ稲荷町駅から徒歩6分
WEBサイト

文:久保田 裕子
写真:TAKEO、BUGS GROOVE
編集:BUGS GROOVE