昆虫食普及のために説くべき5つの課題

昆虫食普及のために説くべき5つの課題

昆虫食に関心が集まったのは、2013年5月にFAO(国連食糧農業機関)が発表したレポートがきっかけ。将来予想される食糧危機や温暖化対策の解決策として、昆虫が食料および飼料として推奨されました。


BUGS GROOVE編集部も、昆虫食に関わる方々への取材や、様々な昆虫食イベントへの参、昆虫料理を試作&試食する中で、昆虫食の可能性をたくさん感じています。これから昆虫食が広まっていくためにはどうしたらよいのか──リアルな視点から5つの課題を挙げてみました。

1. そもそも、昆虫は安全な食べ物なの?

初心者にとって気になるのは安全性。昆虫を食べるには、必ず火を通し、状況に応じて冷凍すること。十分に加熱した後に、一度冷凍することで、雑菌や寄生虫をほぼ除去することができます。そして肉や魚同様、新鮮なものを食べること。フン抜きなどの下処理も大切なポイントです。ただし、甲殻類(エビやカニなど)などのアレルギーがある人は気をつける必要があります。また、野生の昆虫を採取する場合、有毒なものもいるので、種類のわからないものは食べないようにしましょう。

2. ところで、昆虫に栄養はあるの?

FAOのレポートによると、昆虫は「タンパク質や脂肪、ビタミン、ミネラルが豊富で、健康的な食用資源」と評されています。例えば、コオロギ100グラム当たりのタンパク質は牛肉と遜色ないに匹敵する量が含まれています。また最近では、イタリアのローマ大学より、アリやセミなどには抗酸化物質が多く含まれており、一般的に抗酸化作用を持つオリーブオイルやオレンジジュースの数倍の濃度に匹敵するとの発表もありました。これから研究が進むにつれ明らかになる、昆虫の栄養素にも注目です。

3. そうはいっても、見た目が気持ち悪い…

ここ最近は昆虫食に関する話題が各種メディアで取り上げられることも多くなってきましたが、どうしてもインパクトがあるのが見た目の気持ち悪さ。まだまだ、ゲテモノ料理扱いや罰ゲームとしての意味合いが強いのが現状です。

 

実際にBUGS GROOVE編集部もさまざまなイベントで試食してみましたが、調理してあるものの、どうしても姿が受けつけなかったり、食感が慣れなかったり、足が歯に挟まって不快感を持ったりすることがありました。

 

しかしながら、ここ数年間でコオロギやミールワームなどを粉末にして、さまざまな商品を開発・販売するスタートアップ企業が世界中で増えてきています。例えば、京都の『BugMo』やアメリカの『EXO』は、コオロギパウダーを使用し、抹茶味やチョコレート味などのプロテインバーを提供。見た目からくる機会損失を払拭すべく、新しい商品を生み出しているのです。昆虫食に興味はあるものの、見た目に抵抗がある方は、これらの商品を試してみてはいかがでしょう。

4. 正直、昆虫っておいしいの?

昆虫料理を試してきた中で、おいしさに驚いたものも、やっぱり無理だ…と感じたものもあります。でもそれは、個人的な嗜好でもあり、昆虫以外の食材でもいえること。現在、レストランなどでも食材のひとつとして昆虫を扱い、おいしさを追求しながら料理を提供する動きがあります。一般的に、バッタはエビの味、セミはナッツの味などといわれていますが、百聞は一見にしかず!思い切って試してみてはいかがでしょう?

 

BUGS GROOVEでは、日本国内で行われる昆虫食を食べることができるイベントや、初心者でも簡単に作れる昆虫食レシピを配信していく予定ですので、ぜひお試しください!

5. 実は、昆虫は価格が高い…

昆虫食を普及させていくための一つの重要な側面は価格です。例えば、国産コオロギは100グラム1,000円以上もする高級食材。日本で手に入る昆虫食材の多くはタイなどからの輸入品に頼っているため価格は高めです。でも、需要が伸びていくことで輸入量も増え、ここ数年で単価は下がっていく可能性もあります。また、国内に養殖場を広げていこうとする会社もあります。ビジネス参入障壁が他の養殖業に比べて低いため、新規事業として取り組みやすいといえます。国内の昆虫食関連企業の動きに、益々注目があつまりそうです。

未来の可能性を発信!

このように、普及に向けた課題はいくつもありますが、昆虫食に関わる人達と協力しながら、これらの解決策を模索していくことで、昆虫食が一過性のムーブメントで終わらず、国内にとどまらず、世界での新たな動きにつながっていくのではないでしょうか。人によって昆虫食への好奇心もさまざま。BUGS GROOVEはこれからも、昆虫食の可能性を発信していきたいと思います!

編集: BUGS GROOVE