これは美味No.1昆虫!?フェモラータオオモモブトハムシを食べてみた!

これは美味No.1昆虫!?フェモラータオオモモブトハムシを食べてみた!

いや、驚きました。私、食べた昆虫の種類や料理の数はまだまだ知れているんですが、このフェモラータオオモモブトハムシ(通称フェモ)はもう、昆虫食が苦手という方々にも「虫って美味しいのね」って言ってもらえると確信するくらい“うまかった!”。昆虫食普及の最終兵器なんじゃないだろうか。

三重県松阪市でおこなわれた、フェモを捕獲し味わう会に参加したBUGS GROOVE編集長・次田が、その味についてご報告します。まずは動画をご覧ください。
※この会は、緊急事態宣言前の3月8日に開催されました。

クズに繁殖する美しい外来種昆虫

今回参加した『フェモラータオオモモブトハムシを食べる会』は、『食用昆虫科学研究会』の理事長である蟲喰ロトワさん、大阪を拠点に昆虫食普及活動をしている『昆虫エネルギー研究所』の佐藤裕一さん、そして『いなか伝承社』を主宰している田中寛人さんが5年前から冬の終わりに開催しています。今ではいくつかの団体が同様の会を開催しフェモ食を楽しんでいるようです。

フェモラータオオモモブトハムシは東南アジア原産の非常に美しい虫です。植物防疫法で輸入が禁止されているこの虫が日本にいるのは、誰かが養殖や販売していた個体が2006年ごろに逃げ出し、繁殖したからだ、と考えられているようです。

宝石のような輝き!家で飼いたいと考える人がいても不思議ではないですね。でも、野に放ってはダメ、絶対!

フェモは今のところ、三重県松阪市や大阪府池田市など限定された範囲で河川流域のクズに繁殖していますが、繁殖範囲は拡大傾向にあり、マメ科を食するフェモがもし大豆などの畑に入ったなら農業に大打撃を与える恐れがあります。この会は、そんな問題児を採って食べることで生態系や外来種について考えてもらおう、という趣旨で開催されているとのこと。採集された虫はその場ですべて茹でることをルールとし、拡散防止に細心の注意が払われていました。

夏に土手に生い茂っているクズ。この葉っぱの上にフェモを見かけるようになったら一大事!冬のうちに幼虫を捕って食べないと!

枯れたツルのコブから幼虫を取り出す

夏には土手の斜面を覆いつくす勢いで生い茂っているクズも、2月には枯れて葉は落ち、茎しか残っていません。ほかの木や草の合間にツルを見つけると、ところどころにコブが見つかります。このコブの前後を剪定ばさみで切り集めます。

 

コブをバケツやごみ袋に採集

切ったコブを割いていくと、黒っぽい蛹室(ようしつ)があり、その中にフェモの幼虫たちが静かに越冬しているのです。東南アジアの虫なのに、寒い日本の冬を越せるのは、このしっかりした蛹室があればこそなんでしょう。

カブトムシの幼虫を小さくしたような幼虫

幼虫は春に蛹(さなぎ)になり、6~8月ごろに成虫になって外界に出てくるそうです。今回、参加者が集めたフェモ幼虫はおよそ150匹。現場にカセットコンロを持ち込み、そのまま調理して、いただきます。

カシューナッツ?キャラメルコーン?

試食して感嘆したその味とは!?

今回の調理方法ですが、採取したフェモ幼虫を水洗いした後…
①茹でて塩まぶし
②バター醤油炒め
③チリソース炒め
の3つのメニューに仕上げます。

私はイモムシ系は苦手なのですが、フェモは抵抗なく口に入れることができました。理由としては、とてもサイズ感がいいです(たとえばシロスジカミキリ幼虫は、ドロッと中身が出てくる想像をしてしまって私には食べる勇気がないです、多分)。このサイズ感のおかげで、余計な想像をせず口に入れ、小エビを食うように噛みます…案の定、ドロッとした中身が薄皮を破って口の中に広がります。

うむ…

うまい。うまいぞ!

近いのは、茹で豆でしょうか。豆類を食べていますから当然か。あるいはコーン?コーンと似ていると思わせるのは、汁気と、甘みと、薄皮のせいか。そして、若干の苦みがあります。何かに似ている…ソラマメです!ソラマメに感じる苦み。この苦みも、良いアクセントだと感じました。

3つのメニューのうち、茹でて塩を振っただけのフェモが、最も素材の味を引き出していました。料理として一番誰もが気に入りそうだと思ったのはバター醤油炒め。

エビチリソースは参加者の皆さんの評価は低かったですが、私はチリソースの酸味、甘み、辛みと、フェモのコク、甘み、苦みがバランス良く、エビとは違う美味しさを感じました。強いソースに負けていないと思いましたよ。

『Cook Do®の干焼蝦仁(カンシャオシャーレン)』でも調理する。見た目はまんま、小エビチリ

日ごろから様々な昆虫食レシピ開発をしている参加者の一人、東京農業大学の学生・阿部勇馬さんにフェモの味について伺うと、「皮が薄く、グリーンピースのようで歯切れが良い。うま味が強く、後味にも残る。大きさが手ごろなわりに中身がたっぷりあるので1匹でも満足感がある」とのこと。確かにアリとかコオロギとか、たくさん口に入れても“中身感”が感じづらいですものね。

というわけで、私にとっては昆虫の味に対する意識革命をもたらしてくれたと言っても大げさでない、フェモラータオオモモブトハムシの幼虫。

加熱した後、時間が経つと杏仁の味がするようになる、という興味深いお話もあり、来シーズンは“よりおいしい調理法”で楽しめることを心待ちにしています。

フェモが気になる方は、『いなか伝承社』のFacebookに「いいね」しておくとよいと思いますよ! 

『いなか伝承社』Facebook
(『いなか伝承社』は、イナゴから作った醤油も開発販売しています)


その他データ:
『食用昆虫科学研究会』Webサイト
『蟲ソムリエ.net』Webサイト
『昆虫エネルギー研究所』Facebook

文 :次田 寿生
写真:BUGS GROOVE・Shutterstock
動画:BUGS GROOVE
編集:BUGS GROOVE