昆虫スイーツを手作り!Mrs.Cricketの挑戦 vol.2
『Mrs.Cricket (ミセス・クリケット)』を立ち上げ、コオロギ粉末を使ったスイーツを手作り&販売している清水美樹さん。グルテンフリーやシュガーフリー、卵を使わないなど、女性をメインターゲットにしたスイーツ作りにこだわっています。
あくまで自分らしく、材料にも妥協はしない
清水さんのスイーツ作りは材料選びから始まりました。コオロギ粉末は、タイの会社からサンプルを送ってもらい選定。メーカーや種類によって粉の大きさはもちろん、味や風味も違うため、いくつも試したそうです。材料へのこだわりはコオロギ粉末だけではありません。
清水さんは“アーモンドバターサンド”のクッキー生地に、小麦粉は使わず米粉を使用。生地の材料は米粉とココナッツとコオロギ粉末で、グルテンフリーです。白砂糖や卵、バターも使いません。ただし、生地がまとまりづらく成形が難しいため、米油やはちみつを入れるなど工夫を重ねました。
「小麦粉や白砂糖を使えば作りやすいし、原価ももう少し抑えられます。自分の中でも葛藤がありました。でもこれは、“環境問題に関心を持つツール”にしたいという強い思いから始まったこと。“自分が作る意味”を大切にしたいと考えました」
栄養価はもちろん、グルテンフリー、卵不使用などアレルギー対応も含めて“安心・安全”であること──今までもこれからも、清水さんのスイーツ作りの核となる部分でしょう。
イベントなどで直接顔見ながら販売
“アーモンドバターサンド”の完成後は、いくつかのイベントに参加。4月は代々木公園で毎年行われている『Earth Day Tokyo 2019』、7月は『earth garden“夏”2019』に出店しました。
「買ってくださった方から『おいしい』と言われると本当にうれしくて。まずは知ってもらうことが大切。直接お客様の声を聞き、きちんと反応を見ながら売っていきたいと思っています」
現在はネット販売とイベントに参加している程度ですが、これからは定期的にマルシェなどに出店していこうと考えているそうです。
これからも新商品にチャレンジ
清水さんはデパ地下や土産物店などにも足繁く通い、流行のスイーツを研究。
「街を歩いていてもスイーツを見かけると『これはコオロギ粉末で作れるかな?』と考えますね。そういうときは帰宅してすぐに試してみたりします」
今、試作を行っているのは、手軽に食べられてエネルギー源となるヘルシーな“エナジーボール”。「いくつか組み合わせてブーケのようなパッケージにしたら可愛いかな」とアイデアが膨らみます。
また、コオロギの風味が生かせるお煎餅の商品化にもチャレンジしたいと。ただし、お煎餅はプレスして水分を飛ばす必要があるため、手作りとなってしまうため、量産化は難しいのが現状。クラウドファンディングなどで資金を調達し、OEM生産(製造メーカーが他社ブランドの製品を製造すること)への道を模索しています。
コオロギ粉末を家庭の食卓に
さらに清水さんが考えているのは、コオロギ粉末を家庭に普及させていくこと。『Mrs.Cricket』の商品としてパーケージも自らデザインし、“クリケットフラワー”を販売しています。
「お味噌汁に入れたり、めんつゆに加えてそうめんのつゆにしたり、米油やお酢と合わせてドレッシングにしたり…。コオロギ粉末を加えることで栄養価はもちろん、うま味や風味が増します。まだまだ馴染みはないですが、家庭でも簡単に作れておいしいレシピを紹介していけたら、気軽に使ってもらえるようになるのではないかと思っています」
清水さんらしい視点で発信する昆虫食。これからも要チェックです!
文: 久保田 裕子
編集: BUGS GROOVE