昆虫食生活

昆虫食生活 〜1日目〜 コオロギ粉とミルワームを使ったミートスパゲッティー

はじめまして、BUGS GROOVEのリポーターをしている西川です。

これから1ヶ月間、昆虫を食べて生活することになりました。

実はこの企画は自らが立てた企画なのですが、昆虫が好きかと聞かれると実はそうでもないのです。
正直な話、お肉のほうが好きです。虫の見た目もかわいいとか思ったことはありません。昆虫に対する嫌悪感は人並程度だと思います。
それではなぜ1ヶ月昆虫食生活をやってみようと思ったのか、その経緯を簡単にお話しします。

BUGS GROOVEのリポーター西川

人生初の昆虫食は全く”おいしくない”記憶だけ

私は現在大学2年生で、探検部というサークルに所属しています。
そこの新歓活動で初めて昆虫食を体験しました。木の幹等を切り、虫取り網を使って昆虫を探しましたが、あまり多く採集できませんでした。

調理方法は特段、特別な調理をする訳でもなく、塩ゆでや素揚げしただけで、それまで食べたこともない虫の味が直接的過ぎたために、食べるのに苦労しました。
独特の香りに耐えきれず、こっそり吐きだしてしまうものもありました。
正直な話、”全くおいしくなかった”んです。

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ゆでた蚕、私が初めて口にした虫

そして、翌年の新歓活動では”リーダーとして”昆虫食を企画しました。以下がその時に書いた目標です。

人口爆発に伴う食料難が叫ばれて久しい。
国連の予測では、2050年に達するであろう91億人の世界人口を養うには、食料全体の生産量を2005年/07年から2050年の間に約70パーセント引き上げる必要があることを示している。そのため開発途上国の生産量はほぼ倍増させなければならない。
そんな中、飼育が容易で高たんぱく補給が望める昆虫食に今世界中で注目が集まっている。
日本はもとより世界中のあらゆる厳しい環境を生き抜いていく探検部員にとって必要な能力であろう。この活動で昆虫を捕る技術、知識を獲得し、今後の活動に活かしていく。(2015~2019年度新歓虫食目的引用)

このように新歓昆虫食の目的の欄には立派な理由が書き連ねてあったのですが、実際の新歓虫食会は自分が新入生で体験した内容とほぼ変わらず「虫に対する知識はない、虫は取れない、おいしく調理できない、誰も本当は食べたくない」という残念な結果に終わってしまいました。

せっかく、探検部の新入生たちに、世界の食糧危機を救う可能性のある昆虫食の大切さを伝える機会であったにもかかわらず、自分が捕まえた昆虫がなにかもわからないまま、おいしく食べることもできないまま、活動は終わってしまったのです。しかもさらに恥ずかしいことに探検部員がSNSでゲテモノとして昆虫を食べたことを自慢するのです。もう本当に顔から火が出るかと思いました。私はリーダーとして猛省し、きちんとした知識を得た上で活動を行い、改めて探検部の昆虫食会の目的を達成したいと思いました。

そこから本やインターネットで調べていくと、昆虫食は様々な面でスーパーフードとして注目されていることを知りました。エネルギー変換率、飼料要求率、可食部率、タンパク質割合は日本人が日常的に食べている大型脊椎動物の上をいきます。しかし現時点では養殖技術なども確立されておらず、流通量も少ないため肉や魚などの他の動物性たんぱく質と比べて高値となってしまう問題点もあります。

おいしく育てる方法、おいしく食べる方法もまだまだ未開拓です。今回の活動でどこまでできるかわかりませんが、色々な昆虫を食べるのはもちろんのこと、自分なりのレシピを考えて、調理することで「おいしいから食べている」と言えるようになれたらと思います。

また、1ヶ月間継続して食べることでしか気づけない、昆虫食の良い点、悪い点を見つけていけたらと思います。前置きで長々と書いてしまいましたが、"昆虫食でおいしくかつ健康的な生活をおくる"ことを今回の活動の目標にします!

コオロギ粉は汎用性の高い万能食材!

昆虫食生活の初日、BUGS GROOVEの編集部のメンバーとこれから1ヶ月間の段取りや準備に手間取り大忙し。

朝と昼は、手間をかけずにコオロギ粉をつかった料理にしました。

朝はコオロギ出汁の味噌汁、昼はコオロギ出汁のうどんをつくって食べました。

これまで実家では当然ながら鰹や昆布をつかった出汁を飲んでいますが、コオロギ粉はそのままお湯に溶いただけで、ほうじ茶のような香ばしさがあり、出汁として使うと味噌とよく合うように感じました。更にコオロギ粉は汎用性が高く、見た目も粉なので初心者の方にもおすすめです。

私もこれからもコオロギ粉にはとてもお世話になりそうです。

朝ご飯:コオロギ粉入り味噌汁、昆布のおにぎり
お昼ご飯:コオロギ粉入りうどん

味はおいしいが食感に問題があるミルワーム

夜ご飯にはジャイアントミルワームをミンチにしたスパゲッティー。パスタには2割コオロギ粉が練りこまれてるクリケットパスタを使用。パスタはゆでただけですが、炒めたらより香ばしさが引き立っておいしくなると思います。ソースは蟹みそとツナが混ざったような不思議な味わい。肉とはまた違ったおいしさでこれはこれであり。

ただ、ポップコーンを食べた後に口に残る皮みたいなものがありました。ジャイミルの殻だと思われます。中身を出すか蒸して外側も柔らかくするなど改善策はまだまだありそうです。

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夜ご飯:ジャイアントミルワームのミートソーススパゲッティー

ここまでが1日目の昆虫食生活のリポートになります。今回の料理には、あまり見た目に虫っぽさはなかったと思います。

今後は食材として色々な虫をつかっていきますので、見た目が刺激的な日もあると思います。

これからの1ケ月間、正直不安でいっぱいですが自分にとっても、探検部にとっても、昆虫食業界にとっても、意義のある活動にしていきたいです。至らないところもたくさんあると思いますが、どうか温かい目で見守ってください。皆さんがこれを機に昆虫料理を少しでも興味をもってくれたら幸いです。

昆虫食生活1日目献立 ※昆虫から摂取できるタンパク質記載

朝:コオロギ粉入り味噌汁、昆布のおにぎり 
昼:コオロギ粉入りうどん
夜:ジャイアントミルワームのミートソーススパゲティ、コオロギ粉入りパスタ使用

1日目に摂取した動物性たんぱく質の量は49.725gです。
※昆虫のタンパク質含有量は『昆虫食古今東西』(著 三橋淳)、『Mrs.Criket 公式サイト』を参考にしています。

文: 西川

編集: BUGS GROOVE