注目の産業に?コオロギの捕獲と養殖─カンボジアの昆虫食事情 vol.2
カンボジアで食べられているコオロギはどこで捕れるのか──取材陣が向かったのは首都プノンペンとアンコール・ワットで有名なシェムリアップの中間地点、第3の都市といわれるコンポントム。緑豊かな街で、食用コオロギの産地として知られています。
夜に仕掛けを設置しコオロギを捕獲
コオロギは日中も捕獲できますが、農家が副業としてよく行うのが、仕掛けを置いて夜に捕獲する方法。田んぼのあぜ道にブルーの蛍光灯を並べておくと、夜の間、光に誘われてコオロギが集まってきます。下にはバケツなどで水を貯めておき、蛍光灯の周りのシートにぶつかったコオロギが落ちる仕掛け。コオロギは水に弱く、いったん落ちるとバケツから這い上がることができません。
農家の人は早朝、仕掛けをチェック。もちろんコオロギだけでなく、バッタやタガメ、オケラなどさまざまな昆虫が落ちるので選別が必要。巨大コオロギが掛かることもあるそうです。
発展が期待されるコオロギの養殖
さらに訪れたのはコンポントム郊外にあるコオロギの養殖場。養殖場といってもタイにあるような大規模なものではなく、個人が自分たちのできる範囲で工夫しながら行っている小規模なものです。
養殖場にはレンガで作った大きな浴槽のようなものがいくつも並んでいます。日陰になっており、コオロギの糞に雑菌が繁殖しないよう風通しをよくしてあります。ひとつの養殖槽には、布や紙が敷かれた上に小さな赤ちゃんコオロギがびっしり!赤ちゃんから成虫まで、成長段階に分けて飼育されています。
コオロギは雑食なので、餌は米ヌカや草、野菜くず、サトウキビの絞りかすなど。いろいろな餌を与えてみて、どれがおいしくなるか試しているそうです。コオロギの養殖は、約1カ月半と成長サイクルが早く、農作物に比べ天候に左右されないうえ、収入も安定するとあって、カンボジアでは注目されている成長産業のひとつといえるでしょう。まだまだ国内には養殖場は少ないですが、これから増えていくことが期待されています。
ちなみに、巨大コオロギはそれぞれが巣を持ち、共食いをするため養殖はできず、現時点では捕獲に頼るのみ。土が乾いていないと地中に巣を作れないため、雨期になると捕獲量が減ります。つまり、現地でもかなりの貴重品。
今後、巨大コオロギが養殖できるようになると、さらに大きなビジネスになるかもしれません。
文 :久保田裕子
動画:BUGS GROOVE
編集:BUGS GROOVE